本当は今でも彼氏の存在を信じられないというより、信じたくない気持ちが強い陸だが、あの場面を目撃してしまった以上、否定することもできなかった。
「…ハンカチ?」
陸の発した言葉の中のハンカチに引っかかった長澤は、ずっと優月に対して見えなかった何かに光が当たるのを感じた。
それは長澤の心の中に投影し、少しずつ形を表していく……。
「陸お兄さんがそう言うんじゃなあ~」
「嘘ついていくなんて、よっぽどのことがあったんじゃないですかね」
さっきから動揺を隠せない里乃とは反対に、冷静さを常に保っていた長澤が、突然陸に対して挑発的な態度に出る。
「は?長澤?」
含みをもたらすその発言と陸に向ける目つきは、とても真剣なものだった。
陸も彼が自分に敵意があるのか、もしくは何かを知っていることを感じた。
「…せっかくだから、もう少し話していく?」
そう提案したのは陸だった。



