ボロが出ないように、気をつけて過ごさないといけない優月に対して、日頃から女子の扱いに慣れている長澤は、そんなシナリオも朝飯前と言ったところか。 また別の問題を引き起こす種になろうとも知らずに…。 「じゃ、早速試しに手繋ぐ?」 左手を差し出し、長澤はひょこっと優月の顔を覗く。 「繋ぎません」 「そう言うと思ったー、ははは」 苦笑しながらも、彼はずっとにこやかだった。 これからカップルのふりをすると決めたばかりなのに、優月は手を繋ぐという行為に、あの時の陸の手を思い出していた。