その遺書を開いて、

まだ乾ききっていない、血だまりの上に落とした。




白い紙が少しずつ、赤に侵食されていく。



全てが赤に変わる前に、

私は出口に向けて歩きだした。



歩きながら、

「そっか」

と呟く。



分かったことが、一つあった。



それは私の運命の人が、彼ではなかったということ。




教会のドアを開けて、外に出る。



東の空の端に、うっすら朝日が昇る気配がした。



小高い丘の上から町を見下ろしていると、


何だか楽しくなって、笑いが込み上げてきた。




「フフッ…ウフフフッ」




この広い世界のどこかで、

運命のカレが、きっと私を待っている。



今回もハズレだったけど、

次の出会いこそ、ホンモノに違いない。



そんな気持ちがした。




教会を後に、私は前を向いて走り出した。



次の出会いを想像すると、

期待に胸が膨らんで、イイ気分だった。




運命のカレ。


この世界のどこかで、私を待っているカレ。




「待っていて。

すぐにアナタを、見つけて
アゲルカラ……」





      【完】