十字架に串刺しになった彼と、


頭を撃ち抜いた、彼女。



二人が作る赤い池に身を浸して、

私は泣き続けた。




泣いて、泣いて、

どれくらいの時間が経ったのだろうか……。




ステンドグラスが割れた窓から、

もう風は吹き込んでいなかった。



風向きが逆に、変わったみたい。




チラついていた雪はやみ、

雲の切れ間に黄色い三日月が、ひょっこり顔を覗かせていた。




窓枠に切り取られた、静かな冬の空。



一枚の絵画のような光景を見つめて、


「綺麗……」


私は、そう呟いた。




涙は完全に、止まっていた。



口元には、うっすらと笑みが戻っていた。




彼の体に触れると、冷たく固まっていた。



開いたままの二つの瞳は、
もう何も映さない。



うつろで、白く濁って、

死んだ魚の目と同じだった。