黒愛−2nd love−

 


「行くぞ」

と彼が言う。



「うん!」

私が元気に答えた。




バイクが土の道を走り、

誰も使っていない壊れかけた裏門から、学園の外に出た。




学園外に出ると、


「自由だ!」


彼がそう叫んだ。



ここからはもう“春成”ではない。


その名前は、学園と共に捨てたのだから。



それは彼が、一番望んでいたことでもあった。



“多くを叶える”と書いて、

『叶多』



その名前の通り、何でも欲しい物を与えられて育った、御曹司の彼。



そんな彼にも、一つだけ手に入らないものがあった。



それは……自由。



一番欲しくて、でも手に入らないと諦めていた自由を、

与えてあげたのは、私。



彼の喜びが、しがみついている体を通して伝わってきて、

私も嬉しく思った。