「待て」と、彼が私を止めた。
ニヤリ笑う、叶多くん。
「コレ、押してみろ」
そう言って渡されたのは、
手の平サイズの、黒く四角い物体。
押しボタンが一つだけついていて、
あとは、無線機みたいなアンテナが伸びている。
「これ、何?」
「押してみれば分かる。
“仕上げ”ってところだ」
よく分からないが、
促されて、ポチッとボタンを押した。
すると――
耳をつんざくような爆音が、
辺りに響いた。
一回だけじゃなく、立て続けに何回も。
見ると、目の前の迎賓館は、
屋根が大きく陥没していた。
「鉱山で採掘用に使うダイナマイト、昨日仕掛けといた」
何でもないことのように、
叶多くんがサラリと言った。


