聖夜祭での婚約発表は、
沙也子の夢だった。
幼い頃に、叶多くんに一目惚れしてから長いこと、
この日を夢見て、こっそり陰で動いてきたのに。
そんな沙也子の初恋は、
実ることなく、破壊されてしまった。
トッテモ、カワイソウダネ。
誰も聞いていないのに、
泣きそうな顔して、必死に婚約発表している沙也子。
彼女のボディーガードに止められても、
マイクスタンドを離そうとしない。
スタンドを握ったまま、彼女はボディーガードに抱えられて、
非常口へと連れて行かれた。
会場の端でクスクス笑って見ていると、
叶多くんがやって来て、私の隣に背をもたれた。
彼に渡されたのは、シャンパングラス。
グラスをぶつけて勝利に乾杯し、
二人で笑い合った。


