黒愛−2nd love−

 


「うあああっ!

クロアイ予知夢は、やっぱり本物だったんだ!」



生徒の一人が、今更なことを叫んで逃げて行く。



私は壁にもたれて、ニタニタしながら地獄を楽しんでいた。




その時、視界の隅に赤い物が動いた。



それは、沙也子のドレス。



沙也子が逃げる人々と逆行して、

会場内を走っていた。



髪を振り乱し、ドレスをたくし上げて走る姿は、

いつもの上品な彼女からは、想像できない醜態。



沙也子はステージに駆け上がった。



そのステージは、婚約発表するために作られたステージだった。



壇上の真ん中、スタンドマイクに向けて、

沙也子は何かを必死に訴えていた。




「みなさま!お待ち下さ……私、三ノ宮沙也子はこの度……と婚約いたし……――」




マイクを使っても、

その声は、悲鳴とざわめきに掻き消されて、


誰の耳にも届かない。