地味でも、見る人が見れば、
品質の良さが分かるみたい。
挨拶回りに忙しそうな沙也子が、
壁際の私を見つけて、
わざわざ近づいてきた。
彼女は真っ赤なロングドレスを着て、大粒ダイヤのネックレスを下げ、
かなり目立っていた。
私の前に立ち、黒いドレスの布地に触れて、
彼女は言った。
「このドレス…叶多の贈り物ね?
春成家ご用たし、フランス老舗店のオートクチュールだわ。
さすが叶多ね。趣味がいいわ」
沙也子が言い当てた通り、
このドレスは叶多くんが買ってくれたもの。
それを知っても沙也子は、
嫉妬も怒ったりもしなかった。
お嬢様スマイルを浮かべて、
上機嫌と言ってもいい感じ。
その理由は、自分の勝ちを確信しているせいだろう。
パーティーは18時に始まり、
その1時間後に、婚約発表すると言っていた。
あと1時間ちょっとで、彼を自分の物にできると思っているから、
もう私を、敵だと見なしていないみたい。


