彼は小さな溜息をついて、
机に座った。
私の好きな、野生味あふれる強い瞳は、
今は何だか、輝きが弱まっているように見えた。
彼は暗い声で、こう答えた。
「沙也と結婚なんて、ウゼェけど……
変わらねぇんだよ。
春成で生きるのも、三ノ宮で生きるのも。
俺を縛り付ける、鎖の名前が変わるだけ。
胸クソ悪い世界から、どのみち逃げられねぇ。
だからお前は、これ以上俺に関わるな。
三ノ宮も、春成と同じくらい怖いぞ?
死にたくなかったら、手を引け」
彼と視線をぶつけて、黙り込んだ。
私を守ろうとしてくれる、その気持ちは嬉しいけど、
“手を引け”と言われるより、
“俺のために戦え”と言ってくれた方が、もっと嬉しいのに。


