中には、美術の男性教師が一人いた。
美術教師は、生徒のデッサン画をチェックしていた手を止める。
回転椅子を回し、ノックもせずに入ってきた私達を睨むように見たが…
直後に立ち上がり、慌てた顔して姿勢を正した。
「は、春成くん?
何か私にご用でしょうか……?」
声が上ずる教師に向けて、
叶多くんはこう言い放った。
「この部屋使わせろ。
お前、邪魔。帰れよ」
教師に向けて何てことを言うのかと、
怒る人はここにいない。
彼は春成家のご子息様だ。
美術教師も身分違いをしっかり自覚していて、
アタフタと鞄に荷物を詰め込み、
逃げるように出て行った。


