沙也子の呼びかけに、「はい」と言わなかったのは、私だけ。
せっかくクロアイ予知夢を書き込んだのに、
これでは意味がないじゃないかと思っていた。
奥歯を噛みしめる私に、
さらに沙也子が追い打ちをかける。
「ところで愛美さん、何かお忘れではなくて?
今回の署名運動の発端は、
クロアイ予知夢が書き込まれたことよ?
調査期限が来たことになりますけど、まだ報告を受けていませんね」
沙也子がニヤリと笑う。
他のザコ共は、期待の目で私を見る。
その期待とは、私が謝ること。
クロアイの正体を掴めませんでした。
私は無能です。生意気言ってごめんなさい。
そんな言葉を期待しているのだ。
悪いけど、それについては期待に応えられない。
椅子を鳴らして、私は立ち上がった。
ドアに向けて、無言で歩く。


