黒愛−2nd love−

 


その言葉に私は、顔には出さずにほくそ笑んだ。



クロアイ予知夢を書き込んだかいがあった。



これで差し迫った婚約発表は、回避できたと思っていた。



しかし――



沙也子が動いた。



10名分の署名が書かれたプリント一枚を手に取り、

じっくりと眺めている。



それからスマホを取り出し、
どこかに電話をかけ始めた。




「もしもし、E組の小橋美喜夫さんでしょうか?

私は三ノ宮沙也子です。
ごきげんよう。


―― ええ、ええ。
よろしいのよ。それはお気になさらないで。


気にしていただきたいのは……

聖夜祭中止の署名に、アナタのお名前があることよ?」




柔らかな口調で話し始めた沙也子の声が、

急に低く落とされた。



小橋美喜夫とかいう相手の声は聞こえないが、

電話の向こうの焦りが推測された。