三ノ宮学園に彼が入学することになったのも、
裏で彼女が春成家と取り引きした成果だ。
三ノ宮グループと春成グループは、
共に日本の財界、経済界をリードしてきた巨大企業。
ライバルであり同志であり、
取り引き相手でもある。
春成にとって三ノ宮は、
決して無視することができない
相手……。
叶多くんは沙也子を睨みつけ、瞳の強さを消したりしないが、
さっきより顔色が悪く見えた。
沙也子はクスクス笑いながら、
彼の首に腕を回している。
「親父は俺に、春成の重化学部門をやらせたがっていたんだ……
どうやって、親父を落とした?」
首に回された腕を解いて、
叶多くんが聞く。
沙也子が得意げに答えた。
「春成のおじさまが欲しがっていた、うちの保険会社をあげることにしたのよ。
合併吸収させてあげる代わりに、
叶多をもらうの。
アナタは私の夫になり、
三ノ宮を名乗ってもらうわ。
二人で三ノ宮を盛り上げて行きましょうね」


