春成から逃れる方法は
“死”のみ。
それを聞いて、心に黒い火がついた。
彼の上に乗り、
筋立つ首に両手をかけた。
「それなら、私が殺してアゲル」
両手10本の指に、力をこめる。
彼は抵抗しなかった。
恐れもしない。
変わらない強い眼差しで、
ジッと私を見ているだけ。
彼の全てが好きだけど、
その瞳には、好き以上の何かを感じる。
見られているだけで、いつもゾクゾクして、
心の中が快感と興奮でごちゃ混ぜになる。
両手の力を強めながら、死んだ彼を想像した。
死んでしまったら、その瞳から光が消えることだろう。
ゾクゾクするような強さもなくなり、
パックに入って売られている、
死んだ魚と同じになってしまう。


