そんな風に夏休みは、クロアイ予知夢がお休みしていたので、

学園は、つかの間の平和な時間を取り戻していた。



2学期が始まると……


「もっと楽しませろ」と催促されるがままに、

クロアイは予知夢を再開させる。




ある時は、


『3年の女子生徒が、放課後の資料室で男性教師とイカガワシイことをする。

その現場を生徒会に押さえられる』



そんな予知夢を書き込み、

その通りになるような仕掛けを作って実行した。




別の日には、


『明日、アーチェリー部内で激しい喧嘩がおこる。

悪意のこもる矢で、血が流れる』



そんなカキコミをして、
翌日その通りになった。




『あなたの夢を聞かせて下さい』

という柔らかいタイトルの掲示板は、


“クロアイ夢見板”と陰で呼ばれ、
今では学園の話題の中心。



生徒たちはクロアイ夢見板に躍らされ、

不安や動揺が広がって、
ステキな雰囲気。



叶多くんは笑顔が増えて、
退屈だった学園生活を楽しんでいるようだ。



そんな彼を見て、私は満足していた。



これは、彼を楽しませたいというピュアな恋心。



彼を楽しませれば、もっともっと愛してもらえる。



愛して愛されて、いつか彼の全てを手に入れタイノ……――