彼の目付きが変わった。
ゴクリと唾を飲む音も聞こえた。
一生懸命勉強しても、中々上がらない成績にお悩み中の彼には、
これが今1番欲しい物かも知れない。
彼の目の前でノートをパラパラめくりながら、決断を迫った。
「これを手に入れたら、成績アップは間違いないのに、断っちゃうのか〜。
本当残念。
本田くん、もう用事終わったから帰っていいよ?」
帰っていいと言ったのに、
彼は私の前から動かない。
挙動不審の変な女と半日デートすれば、
期末テストの成績アップが保証される。
そんな甘い誘惑に、彼は負けてしまった。
「デートするよ。
するから、それを……」
交渉成立。
彼にノートをあげた。
このノートは、期末テスト初日の3教科分の予想問題だけ。
他の教科のノートは、デート後に渡すことを約束した。
ノートを手にした彼に、やるべきことを細かに指示する。
まずは今日の放課後、図書室でマリアンヌに話しかけ、
明日の遊園地デートに誘うこと。
デートに誘われたマリアンヌは、
どんな反応をするだろう?
飛び上がって喜ぶだろうか?
それとも、本の妖精ジョセフィーヌに感謝して、
ポエムを口ずさむかもしれないネ。


