「話しって何?」
彼が面倒臭そうに聞く。
「あのね、図書委員の女の子、
1年生の“安抜 麻理絵ちゃん”知ってる?
ピンクのリボンのカチューシャを付けてる子だよ」
彼はマリアンヌの名前を知らなかったようだが、
それでもピンときたみたい。
「知ってる。図書室でいつも変な行動とってる女だろ?
あの子が何?」
「そう、その変な麻理絵ちゃんが、本田くんのこと好きなんだって。
明日、デートに誘ってあげてよ?
遊園地のチケット、2枚あげるから」
差し出したチケットを、
彼は受け取らない。
「断る」
迷惑そうな顔で、即答されてしまった。
断られるのは分かっていた。
期末テストの2日前というのも、
無理があるし、
相手がマリアンヌというのも無理がある。
私がやらせた恋のおまじないのせいで、
彼女のイメージは
“挙動不審の変な女”になっている。


