我ながら、馬鹿な手紙だと思う。
普通なら、こんな手紙信じない。
誰かのいたずらだと怪しみ、
自分のハンドルネームや恋を知られてしまったことに、怯えるだろう。
でも、夢見るポエム少女のマリアンヌは違う。
驚いて目をパチパチさせた後は、
嬉しそうな顔して、手紙を胸に抱きしめている。
「いつも話し掛けているから、
本の妖精さんが私にお手紙くれたのね!」
そんな顔して、無邪気に幼稚に喜んでいた。
本棚の陰からじっと見ている私は、
閉室準備をしていた司書のおばさんに見つかった。
「あら、まだいたの?
もう閉めますよ?」
「あ、すみません。
すぐ帰ります」
図書室を出る際に、マリアンヌとすれ違った。
ほっぺを両手で挟み、うきうきルンルン歩いている彼女。
頭の中は、きっとお花畑。
お花畑でジョセフィーヌとたわむれながら、
ポエムでも詠んでいるのかもしれない。
長い黒髪をなびかせて、颯爽と歩く私。
すれ違いざま、黒髪がマリアンヌの肩に触れても、
彼女が私の薄ら笑いに気づくことはなかった。


