きっと彼が帰ってから、
今日も同じ席に座って、同じ本を開くつもりなのだろう。
そして、あのポエムのように、
本の妖精さんに恋の悩みを聞いてもらうに違いない。
マリアンヌの行動を先読みして、
私は数学用のノートを一枚破った。
何も書いていない、真っ白なページに、
ピンクの水性ペンで言葉を並べる。
これは、マリアンヌへの手紙。
手紙を渡す方法は、こんな感じ――――
午後5時になり、図書室には真っ赤な夕陽が差し込んでいた。
バイオリンソナタに乗せて、
閉室を知らせる放送が流れた。
彼が立ち上がった。
まずは息抜きに読んでいた本を、
本棚にしまいに行った。
それからテーブルに広げた勉強道具を片付けている。
私はこっそり本棚に移動中。
マリアンヌは、帰ってしまう彼の背中を、名残惜しそうに見つめている。


