読みかけの本は、表紙を上にしてテーブルの端に置いてあった。
マリアンヌが動き出した。
司書カウンターから出て、
ゆっくりと彼の方に向けて歩いていく。
顔が真っ赤。
注目しているのは私しかいないけど、
誰かに見られたら、すぐに意中の人を知られてしまいそう。
マリアンヌの胸のドキドキが、
聞こえてきそうな気がした。
そんなに緊張しながら近づいていくなんて、
もしや本の妖精に頼らずに、
自分で話し掛ける気か……
そう思ったが、違った。
彼女は真っ赤な顔して、
横を通り過ぎただけだった。
通り過ぎる際にマリアンヌは、
彼ではなく、テーブルの上の本をじっと見ていた。
どうやら、何の本を読んでいたのか、調べに行ったようだ。


