Hくんは、私を探している。
探し出して“ぶっ殺してやりたい”みたい。
探しやすいように、折角ヒントを与えてあげたのに、
彼は中庭の私に気づかない。
Hくんは人違いの男子生徒から離れて、
カフェテラスの窓際を歩いていた。
“お日さまの光を浴びる椅子”
に座る女子生徒を、一人一人確認して歩いていた。
窓際には、4人で丸テーブルを囲む女子生徒がいた。
運悪く、その中の一人がサンドイッチを食べていたみたい。
「見つけた!」とばかりに、
Hくんが彼女に駆け寄った。
「久美、あそこ見て……」
驚きの表情を作り、久美に言った。
私の指差す先を見て、
久美は「キャア」と悲鳴をあげた。
悲鳴をあげたのは、久美だけじゃない。
ガラス窓はピッタリ閉じている。
それなのに、中庭までハッキリ聞こえるほどの悲鳴が、
カフェテラス内から響いてきた。


