叶多くんが小さな溜息をついた。
私の肩から腕を外し、立ち上がって会長席に戻ってしまう。
彼は正論をぶつけてくる沙也子が苦手。
こういう知的なタイプは、私も得意とは言えない。
「私の獲物に近付かないで!」
そんな風に、嫉妬むき出しで挑んでくれた方がやりやすいのに。
冷静で知的な沙也子は、簡単には排除できない存在だった。
安物の布地みたいな排除計画を実行すれば、
ほつれた糸を引っ張られ、
逆に私がやられてしまいそう。
沙也子に関しては、慎重にやらなくてはいけない。
「すみませんでした。
真面目に仕事します」
そう言って、つまらない仕事に戻った。
今はまだ、沙也子の前だけは、
大人しくしていた方がいい。
ムカつくけど、幸せな未来を思えば、怒りも鎮めることができる。
いずれ泣くのは、三ノ宮沙也子。
笑うのは、私。
結末はそう決まっているから、
我慢もできた。


