耳から入り込む甘美な刺激に、
肌がゾクリと粟立った。
彼のフェロモンにやられて、
口から色のある吐息がもれてしまう。
雑魚ふたりがいなければ、もっと甘い展開に持ち込めるのに……
そう思った時、さらに邪魔な存在が。
ドアが開いて、
「遅れてごめんなさい」
と入ってきたのは、
三ノ宮沙也子。
彼女は、私と私の肩を抱き寄せる叶多くんを見て、
目を見開いてから、スッと瞳を狭めた。
「何をしているのかしら?
生徒会室は仕事場。ふざけ合う場所ではないのよ?」
眼鏡の奥の知的な瞳には、
うっすら嫉妬の色がにじんでいた。
怪しいと睨んだ通り、
沙也子は彼に恋愛感情を抱いているようだ。
それなのに、彼女は冷静さを保とうとする。
醜い嫉妬の気持ちを理性で押し殺し、決して言葉にしない。
真っ白な正論を、静かにぶつけてくるだけ。


