一人でわめき立てた後、
Hくんは青い顔して、鞄の中から除菌スプレーを取り出した。
私がいじった机の上のノートやペンケースに、シュッシュと吹き掛けている。
「この前の人だ……やっぱり変な人だよ」
久美がそんな感想を言った。
周りの人垣からは、こんな会話が聞こえてきた。
「あんな生徒、この学園にいたかしら?」
「何言ってるのよ、細根くんよ?
忘れたの?」
「ああ〜倒産した人ね。
価値のない人物は忘れることにしているの」
「そうよね。戻りましょうか?
彼を見るなんて、時間の無駄だわ」
興味を持って集まった生徒達が、
パラパラと散っていく。
今の彼は、どうでもいい存在。
一人でわめいていようが、奇異な行動していようが、
この学園の生徒にとってどうでもいいのだ。
誰にも構われない哀れなHくん。
父親の会社の倒産は、彼のせいではないのに。
でも大丈夫。
クロアイが夢をみるから。
Hくんが注目の人になるという、
予知夢をみてあげるカラ。


