学校に行けば、まぁまぁ騒がしい教室で授業が進む。


休み時間、俺の席の前に誰か来た。


「瞬ー、ボッチは可哀想だから来てやったぞー。」


一馬を筆頭に去年のクラスのやつらが5、6人でぞろぞろと・・・。


それなりにうるさかった特進科の教室がものすごくうるさくなる。



「好きで一人なんだよ、同情すんな。」


「とかいってー、俺らが来て嬉しいんだろ?」


「瞬ちゃん、かわいくないねー!」



バカたちにバカにされるのは久々だ。むかつく。



「何?これ化学か?」



今、勉強してる最中なのが、こいつらには見えねえのか。



「・・邪魔ばっかしやがって。」


「てか特進科って女子いねえのか?」


「知らねえよ。」


「知らねえわけねえだろ!あ、いた。2人?」




すぐに女子観察に勤しむ。


こいつらは・・・。ぶれねえな。


「お?」


化学の教科書を片手に、一馬が声をあげた。


顔をあげれば、一馬はにやにやしてやがる。


「なんだよ?」



「・・・ヤったことねえとかいって、お誘いしてんじゃねえかよ!」



「・・あ?」



そう言って、みんなにもみえるように、教科書をおっぴろげた。



「”あとでちとせの部屋行こう”だって!!」


「うっわ、羨ましー!あのちぃちゃんと!」


「・・返せ!!」



俺が慌てて教科書を奪い取ると、みんななぜか遠い目をする。



「いいよなー。あのちぃちゃんが彼女とか。」


「こうやってやりたい放題?まじで羨ましい。」



「あのなぁ・・・。はぁ。もういいわ。」



俺が怒る気も失せて教科書をしまうと、一馬が「安心したよ。」って呟いた。



・・・色々と余計なお世話だ。



「教科書に書いたやつ・・そういう意味じゃねえよ。」


「え?じゃあまじでやってねえの?」


「だから、そういうために付き合ってんじゃねえの。」


「・・・可哀想に、チェリーか。」



・・・だ・か・ら。余計なお世話だ。