縁側に並んで腰かけ、包みを開く。
中身はおにぎりだった。
「梅干しおにぎりだぜ。オレの大好物なんだ。頼んで作ってもらった」
「・・・これ、梅干しおにぎりなの?」
「ああ。さあ食えよ。遠慮すんな」
「・・・・・・・・・・・・」
「なんだよ? どうかしたか?」
「そっか。やっと分かった。あんたって・・・」
あたしのじー様に、そっくりなんだ!
なーんかこいつ、どっかで会ったことがあるような気がずっとしてたんだ!
同じ一族だからかな? って思ってたけど。
それどころか、もっと身近な人物に似てたんだ。
伝書亀を見て、大喜びで飛び乗ったり。
梅干しおにぎりが大好きだったり。
そういやじー様も昔、永世おばあ様のお風呂を覗いて、ぶっ飛ばされてたっけ。
飄々とした態度で、いっつも人に迷惑ばっかり。
なのにどこかで憎み切れない。
うわ、ホントにそっくりだ。もしかしたら、あたし達って近しい親戚同士なのかも。
「里緒のじーちゃんに似てる? オレが?」
「うん、似てる似てる! すごく似てる!」
「ふうん。さぞかし若い頃は色男だったろ? じーちゃん」
「・・・あんた、よく自分で言えるね。そんなセリフ」
なんつーナルシー。
こいつも絶対、カラオケ行ったらマイク放さないタイプだな?
「ひょっとしてあんたって、大福モチも好物なんじゃない?」
「なんで分かるんだ??」
「ぶっ! そこまで似るか!?」
思わず笑ってしまった。
そんなあたしを見て、浄火も嬉しそうな顔をする。
「・・・初めて笑ってくれた」
「え? なにか言った?」
「いや、なんでもない」
浄火はおにぎりにかぶりついて「うまい!」って言いながら、笑った。


