いそいそとふたり揃って浴場に向かい、脱衣所に入る。


服を脱いで浴室の戸を開けると、清潔な湯の香りと、ほわあっとした温かい湯気に包まれた。


んーー、お風呂独特のいい香り!



旅館のように広々とした大きなお風呂場。


浴槽も大きくて、縦横、長さ五メートルはある。


節も反りも無い、とても綺麗な木材の総ヒノキ風呂だ。


床もヒノキのスノコが敷かれていて、足元の感触が心地良い。



さっそく体を洗って、浴槽に肩までザプンと身を沈める。


両手両足を思いっきり伸ばし、バシャバシャッと両腕で透き通る湯を叩いた。


シーンと静まり返った浴室に、吐水口から滔々と流れる湯水の音。


あぁ、いい音だねぇ。じんわり染み入るよ。



「しまこぉ、気持ちいーねぇー」

「うああぁ~」


しま子も気持ち良さそうに体をゴシゴシ洗っている。


全身泡でモコモコで、赤鬼から白鬼に変身しちゃってるのがすごく可愛い。


その姿に笑いながら、あたしは格子状に開け閉めする窓を見上げた。


薄く開いた隙間から、柔らかな黄昏の光りが入り込んでいる。



浴槽も、床も、壁も、窓も、ぜーんぶヒノキの、純和風風呂。


趣バッチリ。情緒満点。


あぁ、心癒され・・・・・・


・・・・・・・・・・・・ん?



あたしは格子窓の隙間に、何か違和感を感じた。


お風呂場にはふさわしくない、何かが見える。


・・・何だろう? 


眉を寄せ、モゴモゴ動くその不可解な物体に目を凝らすと・・・


次の瞬間バチッと、あたしの目とそいつの目がカチ合った。