神様修行はじめます! 其の四


「天内さんは、ぼくが連れて行く。お前たちは先に戻っていろ」


凍雨くんが、似合わない尊大な態度でそう言った。


当主の立場を使って、術師たちを追っ払おうとしてくれているんだろう。



でも元々が凍雨くんって、俺様系の性格じゃないし。


可愛らしい顔立ちのせいもあって、どーにも迫力に欠けてる。


なんだか年少組の幼稚園児が、年長組のお兄ちゃんに向かってカラ威張りしてるみたい。


そのせいか術師たちも、簡単には引き下がらなかった。



「そのようなわけには、まいりません」


「我らに下された命令です。我らが連れて行かねばなりません」


「お前たち、ぼくの命令がきけないのか!? ぼくは氷血の当主だぞ!?」


「もちろん、存じております」


「なら言う通りにしろ!」


「失礼ながら我らに命を下した方は、長老さまにございます」


「う・・・・・・」


「当然、あちらの命令が優先されますので」



あっさり撃沈。


凍雨くんは悔しそうに唇をかみ、シュンとうな垂れてしまった。



しかし、長老だぁ? またずいぶんと大物が出てきたな。


長老があたしに会いたがるなんて、ますます理由が分かんない。


あの人たちって、一般市民と同じ部屋の空気吸うのも嫌がる連中じゃん。


平民と一分間同室にいたら、湿疹がプツプツ出る特異体質タイプなのに。