あたしは、この世にこうして生まれて。


門川君も、この世にこうして生まれて。


そして、こうして生きている。


巡り合って、反発し合って、傷付いて血を流し。


我が身の不運に泣くだけ泣いて。


届かぬ対岸に思いを馳せて、遠く果てない道の先へと手を伸ばす。


そしてキスを交わして見つめ合い・・・


『愛している』と、言葉を告げる。


それが、あたしの生きる形。


それこそが、今ここに存在するあたし自身。


だからあたしは、目に涙を浮かべてここに告げよう。


「あたしと結婚してください。門川君」



だから、両手を広げて受け入れるんだ。


これ以上を望むべくもない奇跡を。


あたし自身を。


愛する人を。




他の誰でも有り得ないあたし達は、見つめ合う。


そして、確かに抱きしめ合って。


もう一度、キスを交わした・・・。



     (完結)