「・・・・・・」


門川君は、ゆっくりと唇を離した。


そして驚いたような表情で自分の胸に手を当てる。


「あぁ、そうか。そうなんだ」


かけがえのない物を確かめるように、彼は胸に手を当てたまま、何度もうなづいた。


「僕は、こんなに君を愛しているんだ」


・・・・・・。


その、言葉が。


この世界で、この地球上で、飽きるほど繰り返されてきただろう言葉が。


震えるほどにあたしを幸せにする。


指の先まで、幸せが満ちていく。


この感情をなんと表現すべきなんだろう。


この時を。


この自分を。


この愛しい人を。


あたしは、何と表現すればいいんだろう。


目の前の愛しい人が、至上の幸福を手に入れたような表情であたしに告げる。


「僕と結婚してくれ。天内君」