神様修行はじめます! 其の四


信じられない! 信じたくない!


いくらなんでもありえない!


キスシーンの直前に、鳥のフンが頭に直撃って!


なにその確率! どんだけレアな人生なのあたし!


う、嘘だよね!? こんなの嘘!


「お願い、誰かこれは夢だと言ってーー!」


発狂してるあたしの目の前で、門川君が大爆笑している。


桜の木の幹を手でバチバチ叩いて、涙流して大笑い。


やっぱりこれは夢だ。そうに違いない。


だって門川君がこんなに、発作寸前まで笑い転げるなんてありえないもん!


それもキスしようとした相手の頭に、フンが落下したのを見て笑い転げるなんて!


そんなヒドイことって、いくらなんでも無いよね!?


「やっぱりこれって夢だよね!?」


「あ、天内・・・きみ・・・最高に、運・・・」


「どこが最高なウンよ! 最っ低じゃないの!」


人の不幸を笑いのネタにすんなあぁーー!


怒りでぶるぶる震えるあたしを、門川君が涙を拭いながら宥めた。


「いや、これは失敬。だがウグイスのフンは貴重なんだ。酵素が豊富だから洗顔料に最適・・・」


「せっかくですけど、洗顔フォームには不自由してませんから! あたし!」


叫ぶあたしに、彼は再び腹を抱えて大爆笑。


あたしはもう腹が立つやら悲しいやらで、髪振り乱してジダンダ踏みまくった。


こんの、スグイスやろおぉぉーーー!


乙女の純情、汚しやがってぇーーー!


戻って来い! きっちりオトシマエつけんかいー!