―― ビッチャアァ!
「・・・・・・!?」
彼の唇が、あたしの唇に触れる寸前。
あたしは自分の頭のてっぺんに、奇妙な音と不可解な重力を感じた。
夢の世界から現実に引き戻されたあたしは、閉じていた目をパチリと開く。
門川君が、信じられないものを見たように目を丸くしていた。
―― ホー・・・ホケッキョぉウ
バサバサと、頭上を通り抜ける羽ばたきの音。
調子っぱずれな音階の、ウグイスの鳴き声が聞こえた。
あれは、この中庭にいた鳴くのがヘタクソなウグイス。
まさか・・・・・・。
あたしの顔からサッと血の気が引いた。
頬の筋肉が絶望的にガクガク動く。
顔が今にも泣きそうに引き攣った。
まさか。
まさか。まさか。まさか。
この、あたしの頭に落下したものは・・・
ウ・・・・・・
「ウグイスの、フンーーーーー!!?」
いっやあああぁぁぁーーー!!
最低! 最低過ぎるうぅぅーー!!


