神様修行はじめます! 其の四


「浄火君だけが君の唇を知っている。そんなの許せるものか」


「・・・・・・」


「君の唇を知っていいのは、この世で僕だけなんだ」


彼の指があたしの唇をそっと撫でた。


薄い皮膚が、彼の冷たさを感じる。


あたしの心と頭がクラクラした。


この束縛。この嫉妬。


この甘さ。この喜び。


あぁ・・・眩暈、が・・・。


「答えたまえ天内君。僕との口づけは、嫌なのか?」


眩暈が・・・して・・・。


もう、あたし、あたし・・・何もかも・・・。


「好きな・・・・・・」


蚊の鳴くような、震える声で。


自分の鼓動の音を大音量で聞きながら、あたしは答えた。


「好きな男の子とのキスがイヤな女の子なんて、いないよ」


門川君の目が大きく見開かれる。


そして最高に嬉しそうに微笑むのを、あたしは頬を染めて見ていた。


門川君の唇がゆっくりと近づいてくる。


あたしはもう、何も考えずに素直に目を閉じた。


もう、いいの。ただ受け入れたいの。


彼の気持ちを。そして自分の気持ちを。


あたしの・・・・・・


ずっと夢見つづけていた、この人生最高の瞬間を。


あぁ、門川君・・・大好き・・・・・・。