神様修行はじめます! 其の四


顔中の血管が破裂するかと思った。


それくらい急激に、顔に血液が集中した。


さっき急下降した血圧が、今度は急上昇している。


アクロバット飛行みたいで、こんなの心臓が耐えられない。


潰されそうなほど強く押し付けられた彼の胸から、ものすごい速度の鼓動が聞こえた。


ドッドッドッて殴りつけるように、今にも爆発してしまいそう。


いつも腹が立つほど冷静な彼の、極限の混乱ぶりが伝わってきた。


見上げる顔は、色を塗ったように真っ赤に染まっている。


でも透き通るように綺麗な目が、あたしを真剣に見ていた。


「天内君・・・」


あたしの名を呼ぶ、彼の美しい唇。


その唇が、真っ直ぐあたしに向かって降りてくる。


あたし達の唇の距離が強引に近づいた。


「・・・・・・!?」


キス、されちゃう!? ど、どうしよう!


突然のことに驚いて、あたしは大げさに全身を緊張させてしまう。


そんなあたしの態度に門川君は息を飲み、動きを止めた。


「・・・嫌か? 震えている」


「あ・・・の・・・」


「嫌なのか? でも、僕は君の拒絶を受け入れない」


至近距離で見つめ合う瞳と瞳。


あたしはもう、肩も腕も足もガチガチのゴチゴチで、石化の呪文をかけられたみたい。


心臓のドキドキは限界寸前だ。