神様修行はじめます! 其の四


明日をも知れない自分の命。


大切な者を失うかもしれない恐怖に怯える日々。


なぜ、こんな過酷な人生を生きなければならないのだろう?


それは、自分に神の一族の能力が備わっているから。


こんな能力さえなければ、戦わずに済むのに。


ただ庇護されながら、ゆったりと生きていけるのに。


あの常世島の人々のように。


「あぁ・・・そういうことなんだね」


あたしは納得した。


権田原が他の一族から格下に見られているのも、同じ理由だ。


『自分たちは戦っているのに、あいつらだけは戦わなくてもいいなんてズルい』


だから、自分たちは特別だと思いたいんだ。


自分には手に入れられないものを、当たり前に持っている者が羨ましいなんて認めるのが悔しくて。


こっちの方が優れているんだと思い込む。


そうして自分を慰めているだけなんだ。


・・・・・・なんだ。変わんないじゃん。


あちら側とか、こちら側とか言ったところで。


結局みぃーんな、同じじゃんか。


「そう、同じだ。同じだから自分自身を受け入れるしかないんだよ」


もしもああだったら? もしもこうだったら?


・・・そんなの、切りも限りも無い。


成れない者に憧れて、手を伸ばしても仕方ないから。