明日をも知れない自分の命。
大切な者を失うかもしれない恐怖に怯える日々。
なぜ、こんな過酷な人生を生きなければならないのだろう?
それは、自分に神の一族の能力が備わっているから。
こんな能力さえなければ、戦わずに済むのに。
ただ庇護されながら、ゆったりと生きていけるのに。
あの常世島の人々のように。
「あぁ・・・そういうことなんだね」
あたしは納得した。
権田原が他の一族から格下に見られているのも、同じ理由だ。
『自分たちは戦っているのに、あいつらだけは戦わなくてもいいなんてズルい』
だから、自分たちは特別だと思いたいんだ。
自分には手に入れられないものを、当たり前に持っている者が羨ましいなんて認めるのが悔しくて。
こっちの方が優れているんだと思い込む。
そうして自分を慰めているだけなんだ。
・・・・・・なんだ。変わんないじゃん。
あちら側とか、こちら側とか言ったところで。
結局みぃーんな、同じじゃんか。
「そう、同じだ。同じだから自分自身を受け入れるしかないんだよ」
もしもああだったら? もしもこうだったら?
・・・そんなの、切りも限りも無い。
成れない者に憧れて、手を伸ばしても仕方ないから。


