神様修行はじめます! 其の四


普通に成長して、普通に生活して。


普通に恋愛して、普通に結婚して。


普通にお母さんになって、普通に生きていく。


今ではもうあり得ない、そんな人生が・・・


ちょっとだけ、羨ましいなって。


だってあたしにとっては、そっちの人生の方がスペシャルだもん。


手に入らないと分かっているからこそ、羨ましく思う。


自分とは全く違う、手の届かない物を手にしている人に憧れる。


そういう感情って誰にでもあるよね。


「隣の芝生は青く見える、というやつだな」


「うんうん、それ。常世島の人たちもそうだよね」


自分には無い神の一族の能力。


持てないから憧れるし、持てない自分が悔しいし。


だから妬むし、恨みもする。


戌亥の浄火に対する感情も、まさにそれだった。


「神の一族も同じだよ。僕たちは常世島の人たちを、無意識に妬んでいるのさ」


「え?」


意外な言葉に、あたしは目をパチパチさせた。


「妬む? こちら側の人があちら側を?」


「そうだ。僕たちはきっと、能力を持たない彼らが羨ましいんだ」


「・・・・・・」


「僕たちは、常に死と隣り合わせで生きているから」