「いえ、葬儀ももちろんですが、後継の手続きが山積みでして」
「はい? 後継って?」
「私が父のあとを継ぎ、現当主となりましたものですから」
「・・・・・・はい?」
「ですから私が、蛟一族の当主に就任いたしました」
・・・・・・。
え? 当主?
この成重さんが、当主就任・・・?
「・・・ええぇ!? なんでえぇー!?」
あたしは大声を上げてしまった。
だって、この人が当主になるなんて!
そりゃ他の一族は、門川ほどガチガチな長子相続システムじゃないにしても!
それにしても、どうすりゃ十四番目の末子に順番が回ってくんの!?
「子が十四人とはいえ、その半数は姉です。つい先日、最後の姉が嫁いだばかりです」
彼は細い目をさらに細めて、そう答えた。
「それに兄たちは、異形との戦いで亡くなっている者も数名おりますし」
「で、でも、他のお兄さんたちは!?」
「先日ひとり、急な縁談が決まりまして他一族の婿になりました」
「その他のお兄さんは?」
「つい最近ひとり、病で亡くなりました」
「・・・その他は?」
「生まれつき病弱な体質で、自分に当主は務まらぬと辞退しました」
「・・・・・・」
「悲しいかな、我が一族の男子は病弱なようです。実は父の体も無くなる直前、病に侵されていました」
残念そうに、彼はそう言った。
・・・そういえば。
あのじじぃ、初めて会った時からずっと嫌なセキを連発していた。
たんに年寄りだからと思って気にしていなかったけれど。
あれ、病気だったの?


