神様修行はじめます! 其の四


「み、水。お岩さん、お水もらっていい?」


「ええ。わたくしはちょっと、ハインリッヒちゃんを紹介してきますわ」


「紹介? 誰に?」


「もちろんジュリエッタちゃんたちですわ」


「・・・あ、はい。じゃ、よろしく」


巨大ミミズ連合軍と、古代マンモスのご対面か・・・。


ファンタスティックな図だわー、それ。


見たいような見たくないような、不思議な興味を掻き立てられる。


それはともかく、水、水飲みたい!


あたしは台所にすっ飛んで行った。


土間って言うんだっけ? ここ。


屋根や壁はあるけど床がむき出しの地面で、外から直接靴のまま出入りする場所。


広い空間に釜戸がズラッと並んで、薪がパチパチと燃えている。


モクモクと上がる白い湯気と一緒に香ってくる、白米や煮物の良い香り。


あたしは水桶にヒシャクを突っ込み、ゴクゴクとノドを鳴らして一気飲みした。


うあー、天然水はウマイー。


ぷうっと満足の息を吐き、木造の長イスに腰を掛け足を延ばした。


開け放たれた引き戸から差し込む、明るい陽射しと動物たちの鳴き声。


里の人たちが交わす快活な話し声と、テキパキ働く軽快な気配。


穏やかで平和な日常の息遣いだ。


ここって本当に素晴らしい里だな。しみじみ実感する。


全員良い人たちばかりだし、まさに楽園だね。


戦いから戻ったあたしの心が安らぎで満たされていく。


澄んだ青空を見上げながら疲れた足を撫でているうちに、あたしは睡魔に襲われた。