神様修行はじめます! 其の四


即席の海底トンネルを、あたし達は元気に進んで行く。


さすがに表面は荒削りで、足場がゴツゴツしてて歩きにくいんだけど。


でも広さも高さも、立派な出来ばえ!


なんったってハインリッヒでも通れるくらいだもん。


しかもトンネル内を照らす光ゴケまで、ちゃーんと完備されているし。


いやもう、つくづく感服してしまうわな。


なんだろうな、権田原一族に流れる血?


土木作業に燃える本能みたいなものが、一族に脈々と受け継がれているのかしら?


「歩けばそれなりの距離がありますわねぇ」


「片道ならともかく、往復となると時間がかかりますね」


「もっと整備して、馬車で行き来ができるようにしてちょうだい」


「承知いたしました。ジュエル様、お疲れではございませんか?」


「えぇ、大丈夫ですわ」


お岩さんとセバスチャンさんの様子は、さして変わった様子も見えない。


まるきりいつもと変わりないふたりの空気に、あたしは安心した。


みんなで一緒に軽口を叩き合ったりして、延々と先へ進んでいく。


でもさすがに歩き疲れてノドも乾いてきた頃、ようやく権田原の里に着いた。


ふうぅー、着いた着いた!


『トンネルを抜けると、そこは雪国だった』って有名な小説の書き出しがあるけど。


トンネルを抜けると、そこは大きな牛小屋だった。


ノンビリした牛の鳴き声と小鳥のさえずる声が、あぁ、これぞ権田原!


毎度のことながら帰ってきたー! って感じがする。


ホッとするなぁ。暗がりから出てきたばかりで目がチカチカしてるけど。