イライラする気持ちが、あたしの理性をマヒさせている。
ブレーキがきかない。
頭の片隅では、もう止せ、それ以上なにも言うなって警告してるのに。
心のどこかに口が開いたように、勢いのある言葉が飛び出して止まってくれない。
明らかにトゲのあるあたしの口調に、門川君の表情も険しくなる。
いつも冷静で無表情な彼にしては珍しい。
いつもより数段冷たい口調で、あたしに向かって言い放った。
「君のために縁談を勧めたのに、なぜ断るんだ?」
「・・・・・・・・・・・・!」
息が、止まった。
頭を殴りつけられたような衝撃が走る。
あたしのための、縁談? なぜ断る?
なぜ・・・・・・断る・・・・・・?
それを聞くの? あたしに?
「僕たちは永遠に一緒だと約束し合ったじゃないか。」
「・・・・・・・・・・・・」
「これは、そのための最良の判断だと思う。なのになぜ君は、そんなに嫌がるのだ?」
「・・・・・・・・・・・・」
「僕の気持ちは変わらない。天内君と一緒にいたいんだ。なのに・・・」
あたしの心臓がすごい音を鳴らしている。
胸を大きく波打たせ、苦しい息を必死に吸って、なんとか吐いて・・・。
彼の唇だけを、射抜く様に凝視し続けた。
そして・・・・・・
彼の形の良い唇から飛び出た言葉が、一瞬であたしを凍らせた。
「僕と一緒にいるのが嫌になったんじゃないのか? それは、裏切りだろう?」


