神様修行はじめます! 其の四


イライラする気持ちが、あたしの理性をマヒさせている。


ブレーキがきかない。


頭の片隅では、もう止せ、それ以上なにも言うなって警告してるのに。


心のどこかに口が開いたように、勢いのある言葉が飛び出して止まってくれない。



明らかにトゲのあるあたしの口調に、門川君の表情も険しくなる。


いつも冷静で無表情な彼にしては珍しい。


いつもより数段冷たい口調で、あたしに向かって言い放った。



「君のために縁談を勧めたのに、なぜ断るんだ?」


「・・・・・・・・・・・・!」



息が、止まった。


頭を殴りつけられたような衝撃が走る。


あたしのための、縁談? なぜ断る?


なぜ・・・・・・断る・・・・・・?


それを聞くの? あたしに?



「僕たちは永遠に一緒だと約束し合ったじゃないか。」


「・・・・・・・・・・・・」


「これは、そのための最良の判断だと思う。なのになぜ君は、そんなに嫌がるのだ?」


「・・・・・・・・・・・・」


「僕の気持ちは変わらない。天内君と一緒にいたいんだ。なのに・・・」



あたしの心臓がすごい音を鳴らしている。


胸を大きく波打たせ、苦しい息を必死に吸って、なんとか吐いて・・・。


彼の唇だけを、射抜く様に凝視し続けた。


そして・・・・・・


彼の形の良い唇から飛び出た言葉が、一瞬であたしを凍らせた。



「僕と一緒にいるのが嫌になったんじゃないのか? それは、裏切りだろう?」