神様修行はじめます! 其の四


「君も指導者となるんだ。上に立つ者がそんな礼儀知らずでは、島の未来も危ぶまれる」


「初対面からオレにガン飛ばしてたお前が言うなよ」


「それは君だろう」


「お前が先にケンカ売ったんだろうが」


「僕はそんな無礼者ではない。君と一緒にしないでくれ」


「それがケンカ売ってるっつーんだよ!」


「はいストップストップー。時間切れですー」


あたしはふたりの間に割り込んだ。


門川君も浄火も、不機嫌な顔をフンッと背け合っている。


このふたりって根っから相性悪いのかな?


でも考えてみれば、門川君とこんな風に言い合える相手って今までいなかった。


彼が望んでも、それはあちら側の常識では許されないことだから。


あちら側の常識が通用しない、こちら側の浄火だからできるんだ。


それは門川君にとって、ものすごく大きくて大切なことのようにあたしは思えた。


もちろん浄火にとっても。


これからふたりは、指導者という大変な道を進まなければならない。


同じ立場で、遠慮なしに本音を言い合える相手がいる。


それはすごく貴重な存在だと思うんだ。


これからきっとお互いが重要になってくると思う。


・・・本人同士は、そんなこと全然望んでなさそうだけど。


「では、行くとするかのぅ。白妙よ、島を任せたぞ」


絹糸は名残惜しそうだった。


絹糸にとって主さんは、あたし達とはまた違う、特別な存在だったろう。


あっという間に儚く消える、人間であるあたし達。


いつも常に誰かの命を見送ってきた絹糸のそばに、変わらずいてくれた存在だから。


その主さんと別れるのは・・・寂しいだろうな。