神様修行はじめます! 其の四


「おおい、子独楽! こっち来いよ!」


浄火がお墓の前の子独楽ちゃんに声をかけた。


振り向いた子独楽ちゃんが立ち上がり、素直にパタパタと駆け寄って来る。


そして浄火の袖口をキュッと握りしめた。


あどけないしぐさはとても幼いけれど、実際の年齢は凍雨くんと同じくらいかな? 


子独楽ちゃんの記憶は、七歳の頃から失われてしまっているから。


そのギャップを埋めるだけでも大変だろうな。


「子独楽ちゃん、元気でね。また会おうね」


「・・・・・・」


母親にそっくりの大きな目が、無言であたしを見つめた。


昨日母親を失ったばかりの彼女は、当然まだ笑顔を見せてはくれない。


笑顔どころか混乱とショックが大きすぎて、しゃべることすらままならない。


そんな彼女を残していくのは心配なんだけど・・・。


かといって向こうへ連れて行っても、幸せにはなれないだろうし。


それになぜか浄火に対してだけは、とても懐いていた。


浄火の隣にいるときは警戒する様子も全く見せず、安心した表情を見せる。


ひょっとして、浄火に恋した記憶が心の奥に残っているのかもしれない。


「また会いに来てくれるってさ。良かったな子独楽」


浄火が子独楽ちゃんの頭をポンポンと撫でた。


見上げる子独楽ちゃんの表情が穏やかに和らぐ。


やっぱり彼女はこの島で暮らすべきだ。


ここで生まれて、ここで育ったんだもの。


だからきっとここで幸せを見つけるはずだ。


・・・でしょ? 信子長老。