神様修行はじめます! 其の四


「白妙よ、よう決意してくれたのぅ」


「ま、しかたないさ。ここで島を見捨てて帰っちゃ、女がすたるからねぇ」


主さんはカラカラと明るく笑った。


「あんた達、そっちにあたしがいなくても、しっかりおやりよ」


「ふむ、任せておけ。・・・さらばじゃ」


「主さん・・・どうか元気でね・・・」


「ちょいと、湿っぽいのはゴメンだって言ってるだろ? その気になりゃいつでも会えるさ」


「さようでございます。トンネルも繋がっていることでございますし」


うん、そうだ。主さんやセバスチャンさんの言う通りだ。


主さんは自前でいくらでも海を渡れるんだし。


トンネルを通れば、誰でも簡単に行き来ができるんだもんね。


海底トンネルの存在は、当分の間はあたし達だけの秘密になるけど。


・・・やっぱりね、いろんな考えを持つ人たちがいるわけで。


無用なトラブルを避けるためにも、すぐには公にはしない方がいい。


閉鎖された土地にいきなり大きな風穴を開ければ、無事では済まない事態になる。


それをあたしは身をもって知ったもん。


「食糧とか、足りない物資はいくらでも権田原が横流しいたしますわ」


お岩さんが笑顔で胸をドンと叩いて、頼もしく請け負った。


・・・ん、わりと元気そうだね。ちょっと安心。


「岩さん、そういった発言は、僕の前では慎んでくれないか?」


渋い顔をする門川君に、お岩さんはどこ吹く風だ。


「あら永久さまったら。これは横領ではありませんわ。人命救助の一環ですわ」


「そーそー。財団法人の救援物資みたいなもんだよね?」


「小娘よ、おまえ、財団法人が何なのか知っておるのか?」


「ん、全然分かんなーい」


ケロッと答えたあたしを見て、みんなが声を上げて笑った。