神様修行はじめます! 其の四


「まあ、そんな心配すんなよ。権田原は強い女だからな」


浄火が明るい声でそう言った。


「里緒が暗くなったって、しょうがねえだろ?」


確かに浄火の言う通りだ。


あたしまで一緒に暗くなったら、お岩さんはどうすればいいのか分からない。


せめて、あたしがしっかりと彼女を支えてあげたい。


「まずは権田原の里へ行くんだろ? 里へ帰れば、あいつも元気になるさ」


「うん。きっとそうだね」


あたしはうなづいた。


あちら側へ戻るにしても、堂々と帰るわけにはいかない。


なにしろ門川君は、お屋敷の私室に閉じこもってることになってるわけで。


できるだけコッソリ行動したい。


だから、セバスチャンさんが自力で掘った海底トンネル。


それを利用させてもらうことになった。


海底トンネルで権田原へ行き、そこから、門川邸の中庭へと通じる地下道を利用するわけ。


門川君の氷龍に乗って帰ろうかとも考えたけど、ひとつ問題があった。


マンモスのハインリッヒくん。


今回見事に主人を危機から救ったヒーローを、一緒に里へ連れて行かなきゃならない。


あれを氷龍の背に乗っけて運搬するのは、さすがにちょっと。


想像しただけで笑える展開になりそうなんで、トンネルを利用することになった。


しっかしまあ、日本の里山にマンモスが住むことになるのか。


もう権田原ってなんでもありね。カオスの世界。


そのうちアンモナイトとか三葉虫とかも増えたりして。