あたしは、そらしていた視線を彼に真っ直ぐ向けた。
彼の目が、あたしを責めるように見ている。
そんな目で見られて、あたしは自分の気持ちを抑えきれなくなった。
なんで・・・なんで、そんなこと言うの?
あたしが責められなきゃならないの?
平気なわけないでしょ?
平気じゃないから、だから、あたしはこんなに悩んでいるのに。
なのに・・・・・・。
不満。不安。怒り。わだかまり。
そんな感情が体の奥の方から、ジリジリとあたしを蝕んでいく。
抑えようとするフタを押しのけて、外へと飛び出そうとしている。
あぁ、言ってしまいそうだ。今にも口に出してしまいそう。
あたしは歯を食いしばり、心の中で吐き出した。
『誰のせいだと思ってるの?』
「平気なのは、門川君の方じゃないの?」
なんとか、その程度のセリフでとどまった。
本当はこんな嫌味みたいなことも言いたくはないけれど。
少しぐらい言ってやらなきゃ、ガス爆発をおこしそうだったから。
でもそれが伝わるはずもなく、門川君は、ぶ然とした顔で反論してきた。
「平気なものか。僕は君に、いつも一緒にいて欲しいと言っているだろう?」
「・・・そうだね」
「君は大切な存在だ。なのに、君の方こそ・・・」
「あたしが、なによ?」
「・・・いや、なんでもない。忘れてくれ」
「言いかけて途中でやめないでよ。そういうの、ハッキリ言って気分悪い」


