・・・・・・。
門川・・・くん・・・。
『僕の愛する君』 そう言ってくれた。
でもその言葉を告げる彼は、見たことのないほど苛烈な表情だった。
氷と冷気の申し子である彼が、まるで燃える鬼神のごとくに豹変している。
生きることへの、責任の放棄。
確かに彼にとって、許し難いほど最も愚劣な行為なんだろう。
(でも・・・)
あたしは砂に這いつくばって彼を見上げる。
あたしの視界全体に蠢く、数えきれない無数の触手。
ウネウネと蠢きながら、その先端を尖らせて攻撃の狼煙を上げていた。
あたしだって生きたい。
愛する門川君と生き続けて、彼と仲間たちを守り続けたい。
でも・・・できないの。現実にできないの!
望んだこと全てが叶うほど、この世界は優しくなんてないの!
毒が回って弱り切ったこの体にはもう・・・
何の力も残っていないのよ!
―― バサアァッ!
「・・・ぶっ!?」
いきなり顔面に大量の砂が飛んできて、あたしは思い切り顔をしかめる。
門川君が足元の砂を蹴り上げて、あたしにブッかけたんだ。
そして塔子さんにも負けない青筋を、こめかみに浮かべて怒鳴り散らす。
「いい加減にしろ! もう、その情けない顔を僕に見せるな!」
あたしは目の中に入ってしまった砂の痛みに耐え、両目を瞬かせた。
・・・・・・。
・・・ねえ、ちょっと・・・。
さすがにこれ、ひどくない?


