怒鳴り続ける門川君の形相は変わっていた。
「泣きごとは許さない! 諦めも許さない! そして、僕の目の前で君が死ぬことも許さない!」
戦い続け、生き残り続けてきた者。
将として幾多の命を守り続けてきた、男の顔だった。
「君はこの世界で戦う道を選んだはずだ!」
「戦う能力を失ったあたしに、どうしろって言うの!?」
頭を抱え、あたしは悲鳴まじりの泣き声を出す。
戦えるものなら、あたしだって当然戦っているよ!
それができない者に対して「戦え」だなんて、それがどれほど残酷なことか分からないの!?
「君の頭はどこまで機能がシンプルなんだ! 僕は、『生きる責任を放棄するな』と言っているんだ!」
あたしの泣き声が飲み込まれてしまうほど、彼は大声を出した。
「見ろ! あの屍を!」
そして信子長老の遺体に目を向ける。
「君の命は、あの屍の上に成り立っているんだぞ!」
生きる形が違った者同士が対峙すれば、必ずどちらかは道半ばで斃れる。
そして彼女は死に、君は生き残った。
その君が、死んでいった者の屍を前にして諦めるのか?
他者の命の果てに立った者には、否応なしに生きる責任が課せられるのだ。
あの命を犠牲にしてまで生き残った自分自身が、これからも生きる。
その意思を持ち続けることこそが、戦い。
君はいつも口癖のように自分を甘いと言うが、そうじゃない。
そんなものは甘えでもなんでもない。
「命への責任の放棄。それこそが唾棄すべき甘えだ。まさに、ヘドが出る。僕の・・・」
門川君は両目を爛々と光らせ、断言した。
「僕の愛する君が、諦めを受け入れるなど断じて許さない。決してさせない! 僕が!」


