神様修行はじめます! 其の四


そしてそれからすぐ、あたし達は権田原へ向かうために外へ移動した。


すでに騒ぎを聞きつけた人たちが、大勢ゴヤゴヤ集まっている。



「これは何事だ? なんの騒ぎだ?」


「なんでも権田原当主様が、天ぷらソバで腹を下したそうだぞ」


「本当か? あの当主もまた、常に話題にこと欠かない人物だな」


「お腹が痛いですわー。ああー、とても痛いですわー」



セリフ棒読みのお岩さんを抱きかかえ、セバスチャンさんが牛車に乗り込んだ。


凍雨くんや塔子さんやマロさんが、あたしを取り囲んでヒソヒソと話す。



「いい? くれぐれも慎重に行動しなさいよ?」


「ぼくたちも、できるだけ早くそっちに行きますから」


「なにも心配はおじゃらぬよ、里緒殿。安心するでおじゃるよ」


「うん。みんなありがとう。あたしは大丈夫だよ」


「・・・・・・天内君」



ドキンッ! と心臓が跳ねた。


振り向くと、いつの間にか門川君がすぐそこであたしを見ている。


彼の姿を見て、あたしの胸に強い緊張と苦い思いが走った。


できることなら・・・顔を合わせず、立ち去りたかったのに・・・。



凍雨くんたちが顔を見合わせ、そして無言でここから離れていく。


邪魔をしないようにとの心遣いなんだろうけど。


みんな待って。行かないでよ。


門川君とふたりきりにしないでよ・・・。