「絹糸、意識が戻ったんだね! 良かった!」
「なんじゃこの、ずいぶんと鮮度の良いタコの足は。ウツボはどうした?」
「ウツボはとっくに過去の産物だよ! 今の敵は、あのイソギンチャク!」
巨大イソギンチャク本体は、相変わらず悠々としている。
そして浄火の体を突き刺した触手を、これ見よがしにユラユラ大きく揺らした。
あたしは血相変えて悲鳴を上げる。
「な、なにすんのよバカ! 揺らすなぁ!」
腹を貫かれたままの状態で揺すぶられた浄火が、苦悶の声を上げた。
「う、ぐああぁぁーーー!」
「浄火ーーー!」
浄火とあたしの叫びは、続けざまの雷鳴にかき消された。
脳天を震わす轟音と、目が潰れそうな閃光が、砂浜中を縦横無尽に駆け巡る。
耳を押さえるあたしの目の前で、片っ端から触手が雷撃を食らって倒れていった。
次から次へとタコの舞いが一掃される光景は、見ていてスカッと爽快なほど。
お、お見事! さすが弱っても神獣!
「絹糸すごい! でも大丈夫なの!?」
「さすがにまだ、体が全く動かぬわい。だが放っておいては、あの小僧は助からぬ」
浄火は砂の上に放り出され、グッタリと倒れていた。
彼の腹を突き刺す触手が、根っこからブスブスと焼け焦げている。
絹糸がイソギンチャクの本体から引き剥がしてくれたんだ!
「あれが腹に突き刺さったままでは、どうにもならぬわい」
門川君の術でなんとか命は取りとめているけど、それは応急処置でしかない。
あれを腹から引き抜いて、浄火をこっちに連れてこなきゃ!
「分かった! あたしに任せて!」


